自分が新卒の頃は急性期病院で働き始め、内科や脳外科の担当をすることが多かったのですが転職を繰り返し整形外科クリニックで勤務するようになりました。
知識量や経験値は新卒同然なわけで全然上手くいかない・・・。
そんなときにこれから紹介する考え方を知りました。
まさに「目からウロコ」なわけで、いまでは自分の理学療法の軸になっています。
同じような経験をしている新卒・若手理学療法士にもぜひ知ってほしいことです。
【推奨度:低】症状(痛み)に焦点をあてる
組織が炎症を起こしている場合、当然その組織には痛みが生じているケースが多いです。
それならばその炎症を抑制することで痛みを取り除く、という考え方になります。
たとえば
物理療法(低周波、超音波など)を利用することで痛みを緩和させることが可能ですが課題は持続性ですよね?
個人の印象ですが、この考え方でアプローチを展開しても数日もすれば症状は元に戻って永遠に終わりのみえないリハビリテーションになってしまいます。
【推奨度:低〜中】制限や損傷のある組織に焦点をあてる
それでは、痛みを発生させている組織(患部)に対するアプローチはどうでしょうか。
これは間違ってはいないと思います。
たとえば
肩峰下のスペースが狭小化してしまい棘上筋腱に繰り返しストレスを生じさせていることが原因だとすれば上腕骨頭の上方化を修正することで痛みは軽減するはずです。
関節包・靭帯の後方〜下方にかけて柔軟性が低下しているケースをよく経験しますが、そういった部位に対してアプローチを行います。
【推奨度:高】制限や損傷を引き起こした原因に焦点をあてる
ここからが本記事のメインになりますが、上記で説明したような「患部」のみのアプローチで改善ができたとしましょう。
しかし、その後は同じ症状を再発することはないのでしょうか?
再発の可能性は高いかもしれません。
なぜなら「患部」はその人の生活習慣や習慣的な身体の使い方(クセ)によって形作られた「結果」である可能性が高いからです。
たとえば
- 長時間のデスクワークによる不良姿勢
- 日常的に重量物の運搬による過負荷
- 野球で投球を繰り返し微細な損傷の蓄積
などなど
以上のように持続的な不良姿勢や過負荷、微細損傷を繰り返すことで積み重なった結果があらわれていると考えると、その習慣や動作の修正を行わないと再発するかもしれません。
まとめ
患部治療に執着する人ほど、結果につながらないというパターンはよくみられます。
あきらかな外傷(交通事故など)による組織損傷は別ですが、運動器系の慢性疼痛症状に悩む症例では「患部外」まで評価の視点を広げましょう。
また、日常的な生活習慣や動作パターンが「患部」に集中的なストレスを与えている可能性があります。
この視点をもって評価やアプローチを行うことが重要ですよ。