DNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization)とは
DNS(動的神経筋安定化)とは発達運動学の原理と、姿勢・運動系の発達に伴う神経生理学をもとに展開するリハビリテーション戦略である、とされています。
つまりは、生まれてから生後1年ほどの赤ちゃんの発達過程を正常な状態として、そこから逸脱する運動パターンなどを探り治療するといったイメージです。
(神経発達学的な観点から呼吸パターンや姿勢、機能的な関節求心位を定義するとされています。)
日本語訳の参考書は2023年7月現在、私の知る限りはありませんのでコース参加時に配布される資料がDNSを知るためには必須となります。
(英語が大丈夫!という方はhttps://www.rehabps.com/を参考にされると良いでしょう。)
提唱されたのはパベル・コーラー教授(チェコ共和国の理学療法士)です。
ヤンダアプローチやボイタアプローチなどをもとに統合されたアプローチ方法であり(イメージは)まさにハイブリッド(?)なアプローチ方法と言えるのではないでしょうか。
参加しようと思ったきっかけ
私は整形外科クリニックに勤務しており高齢者だけでなく小学生〜大学生のスポーツ競技レベルの学生や成人アスリートのリハビリテーションを行うことがあります。
そのような環境の中でいろいろ調べるうちに『DNS』という考え方があるぞ・・・ということを知りました。
そこで理学療法評価・治療アプローチの軸として取り入れてみたいなという想いから参加を決意。
以前は中枢神経系の患者も診る機会も多くありましたし、なかなか評価・治療が上手くいかないな・・・なんてことを思っている日々でした。
整形外科に限らず中枢神経疾患においてもAコースを受講しただけで「そう言えばあの患者の状態はここが原因だったのでは・・・?」といった感じで有用な情報を得られたなと実感しております。
結論:参加して良かった
DNSアプローチの軸とも言えるキーワードは呼吸機能・横隔膜と腹腔内圧(IAP)をいかに高めて理想的な姿勢制御を獲得できるか、といったところでしょうか。
講習会の特徴でもあるのですが、実技の時間が多い・アシスタントインストラクターが多い(たしか5〜6名)ので小グループに分かれての練習(それぞれにインストラクター配置&受講生・インストラクターのチェンジ)や臨床に応用しやすいように受講者同士でお互いの身体評価や治療方法の検討まで行われました。
単発講習会などに比べると、内容が非常に充実した(すぐに実践できるように工夫された)講習会となっていました。
費用はおよそ75,000円(計2.5日)と決して安くはない価格ではありますが、インストラクターが多いし医療従事者向けの講習会の主催は下記に紹介する1ヶ所だけですし、個人的には妥当な金額かなと受け止めております。(安くなるに越したことはないですが。笑)
詳細はMTI Tokyoで確認できます。
特におすすめ:整形外科・スポーツ領域
個人的におすすめは整形外科クリニック勤務の理学療法士・作業療法士です。
脳卒中患者など、中枢神経系疾患でも応用できると思いますが身近に利用しやすいのは比較的若い10代〜50代くらいでしょうか。
体幹の安定性、すなわち腹腔内圧(IAP)が上手に高められない人ほど運動器障害を発症している印象はあります。
それは裏を返せば臨床で診る患者の多くが、このような状況に陥っているということです。
姿勢や体幹の安定性は何年も前からその大切さが強調されており常識となっていますが、いざ評価や治療をやれと言われると自信がない自分がいます。
DNSはその不安を解消してくれる非常に有効なアプローチ方法だと感じています。
おすすめ書籍PICK UP
ヤンダアプローチ
マッスルインバランスの理学療法
マッスルインバランス改善の為の機能的運動療法ガイドブック
おすすめ書籍のPICK UP
骨盤帯
カナダの理学療法士であるDiane Lee(ダイアン・リー)先生が原著となる書籍です。
「統合システムモデル」という考えを提唱されており、評価・治療にも目からウロコとなること間違いなしです。
タイトルの通り、腰椎・骨盤・股関節に特化して多くの論文と臨床経験から得られた知見をもとにさまざまな情報を紹介されており超有用なので、ぜひ目を通してください。
余談ですが、私が経験2〜3年目の頃はあまりピンとこなかったのですが、いま(経験7年目)読んでみると「めちゃくちゃ良い本!」と思えました。
胸郭統合アプローチ
上記の骨盤帯とあわせて参考にしたい書籍です。
本書籍では胸郭に特化した内容となっています。